慶應SFC学会の学術論文誌、KEIO SFC JOURNAL21巻1号の表紙デザインの公募に鳴川研の幾何学とグラフィックチームで参加し各作品を応募した。
テーマは「古くて新しい総合政策学」。
総合政策学部開設30周年。特集テーマに沿って「政策」という,政府や,企業や非営利組織の経営方針,国際機関の運営方針から,個人の生きる上での指針までも含む広い概念。そして,政策を考えることとは未来を考えることというメッセージを象徴できるデザインが求められた。
日下部真紀さんの作品が採用された。

採用案(日下部真紀)

<コンセプト>
「古くて新しい」を想起させるべく,「温故知新」が花言葉のサンユウカ をモチーフとして使用。
総合政策の5つの研究領域をサンユウカの葉の先端を繋ぐとみえる正五角形で表現し,正五角形の頂点からまた次の五角形が形成,そしてその頂点から次のサンユウカが咲く。このような外に向かって五角形が展開していく構成によって,総合政策の30年間の歩み、広がりを表現した。
色合いや植物の曲線的な表現は,古さを新しさと組み合わせていく美術運動のアール・ヌーヴォーをイメージした。 
<コンセプトを立てる>
コンセプトの立て方についても学び,作品づくりを通して実践した。
総合政策学とは何か,SFCの歴史など、テーマに関する理解を深めた。また,「古くて新しい」などのキーワードに関連する情報を集め,デザインを膨らませた。
オンラインホワイトボードツールを用いて,プロジェクトメンバー全員でブレインストーミングのように自由にアイデアを出し合った。情報を多様な目線から収集・整理したことで,ひとりでは出し得ないようなアイデアに辿り着くことができた。また,コンセプトを立てたことで、デザインを通して伝えたいことが明確になり,デザインに説得力が増した。総合政策学という抽象的で広いテーマを,コンセプトを立てることで各自が理解し,言語化して,デザインに落とし込むことができた。

応募作品(塩川裕)

<コンセプト>
今回応募したデザインは細い線の集合によって作られている。細い線が回転し絡み合うことで円を作り,それらが大きくなっていく様から,30年の歴史のある総合政策学部の,領域を広げながら成長するムーブメントを表現した。またこれらの線の集合は「目」としても捉えることができ,未来を見据えるSFCの様子やそこで学ぶ人たちの力強さを表現している。

応募作品(三輪結菜)

<コンセプト>
総合政策学部の5つの研究領域が重なり合って新しい政策が生み出されていく様子を模様で表現し,政策が社会に実装されていく様子を模様の影で表現した。

応募作品(宗近優希)

<コンセプト>
「過去と今,未来へ繋ぐ時計」
重なる円の数によって1から12までの数字を示し,時計を表現している。一定の間隔で時間を刻んでいく時計こそ,過去から今,そして今から未来を繋ぐ唯一の物であると考えた。 

応募作品(伊藤侑世)

<コンセプト>
コンセプトは五角形のみで描かれる花だ。ガーベラの花を意識した幾何学を,五角形のみを用いて描いた。
ガーベラは未来への希望を示す花言葉を持つ花である。未来に向かって拡大していくガーベラを意識し,総合政策学部が過去から未来へ成長していく様子を表している。

応募作品(豊福裕美子)

<コンセプト>
「住するところなきをまず花と知るべし」世阿弥の言葉である。
このデザインでは,ひとつの同じ円を,絶えず動かし続けた結果,大輪の花となっている。ひとつの円が動き続ける中で,領域が重なり,幾何学的に配置した円が予想もつかないような有機的で新しい形を生み出している。この花の中には,完全に重なっている円はひとつもない。
絶えず変化して,多様な分野が重なり,融合しているSFCだからこそ,学問を突き詰めた先に,人々の心を動かし,世界をあっと驚かせるムーブメントを生み出してきたのだと思う。そしてそのような姿が大輪の花のような,目指すべき未来の姿を世界に示していると考える。この花は,このデザインの手法で可能なように,これからも絶えず動き続け,より大きな花へと進化を続けていくと信じている。