現代日本において急速に失われつつある「季節感」。今回、古来の季節区分「七十二候」をもとにしたパターングラフィックの制作を通じて、日常の中で季節の移ろいを感じる豊かな感性を育むきっかけづくりを目指す。
古来の日本で使われていた季節区分のひとつ。
1 年を24 の節気に分けたものをさらに3 つに分けた気象や動植物の変化を表す約5 日ごとの区分。
桜の開花や渡り鳥の飛来など日本の自然や季節の移ろいを細やかに捉えた候ごとの名前が付けられており、旧暦時代にずれることのない季節区分として重宝され、古来から農作業や日常生活の指標として親しまれてきた。
「季節感の喪失」。現代では、「二季化(夏と冬だけが強調される現象)」と都市化による自然減少によって、かつての日本人が感じていた繊細な季節の移ろいが失われつつある。同時に、季節の移ろいを感じる豊かな感性や想像力、日本文化の根底にある文化的価値観や美意識も失われている。
「七十二候を身近に感じ、感性を育む」。
古来日本人が感じ取ってきた季節の魅力を視覚的に捉え表現し、日常の中に取り入れられる形にすることで、より豊かに季節を味わうことを可能にする。七十二候の概念を身近に感じることができ、かつ日常生活の中で取り入れやすい形にする方法を探求する。昔の人が感じていた季節の移ろいを知ることで、季節を感じる感性や今の外の世界への想像力を育むきっかけを作る。
七十二候をパターン化することで繊細な季節の概念を、日常生活に取り入れやすくなるのではないか。
五日ごとに変化するパターンを通じて、意識的に季節を感じるきっかけを作れるのではないか。